
代表取締役社長
滝川忠宏
平素より格別のご高配とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
高度情報化社会に向けて、デジタル技術は目を見張る発展を遂げています。AIの進歩が目覚ましく、いずれ、コンピューターの性能が人間の知能に追いつくと予測されています。
その高度情報化を支える鍵となるのは半導体産業です。ところがここ30年にわたり日本の半導体産業は世界トップ集団から脱落し、今や大きく遅れを取っています。これが日本経済の長期低落の大きな原因と言っても過言ではありません。
その一方で、数年前から世界主要各国による半導体産業の支援が始まっています。
それは半導体産業の強化が一国の経済繁栄に直結すると認識され始めたからでしょう。日本でも政府主導で寸法指標2nmの超先端半導体を生産するべくRAPIDUSが設立され、早期稼働をめざし懸命な努力が払われています。
ALITECSは、日本の半導体産業の再度の隆盛に貢献するべく、装置の物理を理解し、数式化し、装置を最適稼働する、あるいは補正して性能をアップする、ソフトウェアに強い半導体製造装置技術を開発し、ALITECSの関わる事業分野で世界トップを目指す所存です。これらの実現のため、ALITECSは「新技術開発への投資」「優秀な人材の確保」「エンジニアが能力を遺憾なく発揮できる環境整備」「働き方改革」を推進し、役職員一丸となって取り組んでまいります。引き続き変わらぬご支援ご鞭撻を賜りたく、よろしくお願いいたします。
滝川忠宏
代表取締役”滝川忠宏”の紹介
東芝での技術開発と挑戦
滝川忠宏は、東京大学大学院理学系研究科で博士号を取得後、1974年に株式会社東芝に入社します。
そこで滝川が挑んだのは、当時社内に存在しなかった電子ビーム(EB)技術の確立でした。1982年には、世界で初めて50kV EBリソグラフィ技術を提唱。これは、後のマスクライタ技術の礎となり、今日の標準技術へと進化しています。また、単結晶LaB₆電子源の開発にも成功。こちらは、現在グローバルスタンダードとして広く採用されています。
ニューフレアテクノロジーとBrionでの事業立ち上げと経営戦略
滝川は東芝グループの電子ビーム描画技術をゼロから立ち上げてきましたが、2002年のニューフレアテクノロジーの創業に中心的な役割を果たしました。技術者としての専門的視点と経営者としての戦略的判断力を融合させ、EBマスク描画装置市場において当時90%のシェアを占めていた米ETEC(現AMAT)を逆転させました。ニューフレアテクノロジーは今や年商900億円規模のグローバル企業へと成長しています。
続いて2005年には、米国Brion Technologiesに移り、OPC分野における技術革新と事業拡大を推進させました。その成果は、同社がASMLに高額で買収される結果につながり、滝川はその後、ASML JapanにおいてCTOおよびシニアアドバイザーとして技術戦略の策定と実行に深く携わりました。これらの経験を通じて、単なる研究・開発を超え、グローバル市場を見据えた経営戦略・技術開発の立案と遂行においても能力を発揮しています。
リソグラフィ技術への貢献
滝川は、EB技術のみならず、光リソグラフィ、位相シフトマスク(PSM)、EUVリソグラフィ(極端紫外線)、そしてSR(シンクロトロン放射)X線リソグラフィなど、多様な分野において革新的技術を牽引してきました。1990年代には東芝社内を横断する国家プロジェクトを総合リーダーとして率い、100億円規模のSR X線リソグラフィ開発に取り組みました。そこでは、装置・材料・ソフトウェア・設計といった複数分野の融合を実現し、技術の統合化を果たしました。
学術・産業の橋渡しと国際発信
64件の特許取得に加え、48本の査読付き論文と14本の国際会議プロシーディングを発表するなど、滝川の貢献は、技術の体系化と国際共有においても重要な役割を果たしています。また、日本真空協会理事、応用物理学会常務理事などを歴任し、現在は国際会議「PhotoMask Japan」の顧問委員会委員長を務めています。日本から世界への技術発信の場を確立し、研究者・技術者の交流を促進しました。学術と産業、技術と社会をつなぐ橋渡し役として国内外で知られています。
ALITECSでの更なる挑戦
現在、滝川はALITECS株式会社の代表取締役社長として、次世代マスク検査技術「D:DBシステム」の高度なソフトウェア開発を主導し、グローバル市場に挑み続けています。その一方で、1995年には日本機械工業振興賞および東芝社長賞、2013年にはSPIE主催のBACUS Prize、2024年には「東久邇宮文化褒賞」など、多くの栄誉を受賞。これらは、長年にわたる技術革新と経営リーダーシップに対する評価です。技術と経営の両輪をバランス良く駆動させながら、今もなお、日本の半導体産業の未来を切り拓き続けています。
経歴
1969年~1974年 | 東京大学 理学系大学院 相関理化学 理学博士号取得 |
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1974年~2000年 | 株式会社東芝 入社 東芝研究所にて電子ビーム描画技術をゼロから立ち上げ |
2000年~2002年 | 東芝機械株式会社 半導体装置事業部へ出向 EBM(電子ビーム描画装置)の商品化に成功 |
2002年~2005年 | ニューフレアテクノロジの設立に参加 |
2005年~2010年 | Brion Technology(米国・サンタクララ)に就職 本社重役、Brion Japan 会長 |
2010年~2013年 | ASML Japan CTO (Brion TechnologyはオランダASML社に吸収合併) |
2013年~現在 | ASML社を退社、ALITECS社長に就任 |